開業失敗事例

クリニックも経営が厳しい時代に入っている

医院・クリニックの経営は簡単なことではありません。特に昨今はネットの普及によって簡単に医院・クリニックを比較できるようになり、悪い評判は瞬く間に拡散されてしまいます。患者の顧客思考が高まり、医療もサービス業という側面が強くなってきています。このような厳しい情勢の中で残念ながら倒産してしまうクリニックも少なくありません。また、倒産しなくても、当初掲げていた理想や想いとはかけ離れた現状に思い悩んでいるドクターの方が多くいらっしゃいます。

開業が失敗する理由はそれぞれですが、特によくありがちなものを事例としてピックアップしました。開業前に、失敗リスクもあることをしっかりと念頭に置きましょう。

開業失敗事例

労働時間が長い

自由な時間が増え、仕事も含めて自分がやりたいことを実現できると夢見て開業される方も多いです。しかし、開業医は診療に加えて医院・クリニックの経営や運営を自分で行わなければなりません。すべてを抱え込んだ結果、勤務医時代よりもかえって労働時間が増えてしまうというケースもよくあります。

その結果、患者さんに十分に向き合えない、目の前の仕事に忙殺されて中長期的な医院・クリニックの経営・運営戦略が立てられない、あるいはスタッフや患者さんに厳しく当たってしまうといった悩みを抱えられているというドクターの方も非常に多いです。

土日も基本仕事で休みがほぼない

残業だけでなく土日や祝日も仕事に追われているという開業医の方も少なくありません。たとえば平日は患者さんの対応に手一杯で、土日に運営に関する仕事や医師会の仕事をこなしているというドクターの方もいらっしゃいます。また、医院・クリニックの経営や運営のことで頭が一杯でリフレッシュできないという方も少なくありません。

残業や休日出勤が多いと家族との時間を取ることができず、豊かな人生とはかけ離れた、仕事だけの人生になってしまいます。また、ドクターが疲弊すると診断ミスや医療事故など、取り返しがつかない事態が発生する危険性が高まります。

患者さんがこない・売上が立たない

医院・クリニックを開業しても患者さんが全然集まらず、売上が立たないというのも開業医のよくある悩みです。医院・クリニックも一般的な会社と同じ。売上がなく十分な利益が得られないまま、賃料や人件費などの経費を支払い続けると赤字に陥って、やがて破綻してしまいます

患者さんが来ない理由には立地の問題やドクターのスキルの問題、スタッフの対応が良くない、集患が十分にできていないなど、さまざまな要因が考えられます。ただ、事前にしっかりと準備をしておけば、避けられるケースも多いです

どう集患していいかわからない

売上に伸び悩んでいるドクターでありがちな悩みです。集患の必要はわかっているけど、どのように宣伝していいかがわからない、どの媒体に広告を出していいのかわからないというご相談をよくいただきます。

患者さん集めは非常に難しい問題です。今の時代、ホームページなどネットを駆使した集患は必須で、それを実現するためには高度なスキルと知識が必要となります。チラシや電柱広告などのアナログな集患も取り入れていくことが大切です。

資産形成が思ったほどできてない

収入がアップできる、ゆとりある人生を送れると思って開業されたドクターの方もいらっしゃるかと思います。しかし、そうした夢を見ていたのにも関わらず、思っていたほど資産が形成できていなかったというケースも非常に多いです。

前述のとおり売上が立っていないということが要因になっていることもあれば、無駄な設備を購入してしまった、賃料が高い物件を選んでしまった、スタッフを雇いすぎてしまったなどの要因で経費がかかりすぎていることが原因としてよくありがちです。あるいはドクター自身が浪費をしているといったケースもあります。

スタッフが思うように動いてくれずイライラする

開業医はドクターであると同時に経営者でありリーダーです。人材に関する悩みもよくお伺いします。スタッフが自分の思ったように働いてくれない、給料に見合った仕事をしてくれない、ミスが多い、不平不満を言う、採用してもすぐに辞めてしまうなど、やはりさまざまな問題を抱えられています。

スキルや経験が乏しい、社会人としての自覚が足りないといったスタッフ側の問題もあれば、待遇が他院に比べて悪い、スタッフの負担が重くなっているなど、医院・クリニック側の問題もあります。働きやすい環境を整備するとともに、必要なスキルや経験を身につけていてドクターの想いに共感してくれるスタッフを採用し、育成することが大切です

なかなかいい人材が集まらない

人材でお悩みの医院・クリニックでは、そもそもスタッフを募集しても応募がないというケースも少なくありません。知名度が足りない、求人を出す媒体の選定を間違っている、求職者から魅力的な職場だと思われていない(働きがいや労働環境など)、医院・クリニックのビジョンやドクターの想いが十分に伝わっていない、採用基準を高く設定しすぎているといった原因が考えられます。

運営費用がかかりすぎている

医院・クリニックの運営には賃料や人件費、設備のリース代、薬品代、消耗品代、医師会費など、さまざまなコストがかかります。集患ができていて十分な収入があるにも関わらず、運営にかかる経費が多すぎて赤字になってしまうケースも少なくありません。特に大きいのは賃料です。やはり、開業後の資金繰りも考慮した物件選びを行うことが大切です。設備や薬品、消耗品に関しても、相見積もりをとって複数の業者を比較・検討することで、コストを抑えられる可能性があります。

融資が受けられない

開業時や事業規模を拡大する際、あるいは運転資金が足りなくなった際には融資を活用して資金調達を行うことができますが、融資の審査に落ちてしまったり、希望する金額を借りられなくなったりして悩まれているドクターの方も多いです。融資を受けるためには実現性がある事業計画の策定と金融機関との交渉が必須。場合によっては専門家の力を借りることも検討してみましょう

社会情勢の変化に対応できない

社会情勢の変化も医院・クリニックの経営・運営に大きく影響を与えます。たとえば2020年に端を発した新型コロナ禍では、緊急外来や発熱外来、大病院の医療従事者は忙しくなった一方で、個人の医院・クリニックでは感染を恐れて患者さんが通院を控え、売上が減少しました。時流に合わせて経営・運営方針を柔軟に変え、場合によっては補助金や助成金を活用することも大切です

クリニックの経営・運営の知識がない

前述のとおり、開業医はドクターであり経営者です。医師としての腕は良くても、経営・運営の知識がなくて困られている方が多いです。その結果、上記のような問題が発生してしまいます。餅は餅屋ではありませんが、経営・運営のことは専門家に相談してサポートを受けるのも一つの手段です

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